インド1976–

Aravind Eye Care System

払える人の会計で、無償の手術を回す

課題

インドでは、白内障は治せる病気なのに、治療にたどり着けないまま視力を失う人が大勢いました。 無償の医療は、善意と寄付が続く間しか続きません。 1976年、58歳で政府病院を退職した眼科医ベンカタスワミは、自宅を担保に入れ、11床と医師4人の病院を開きます。 問いはひとつ。施しに頼らずに、払えない人を治し続ける仕組みは作れないか。

アイデア

Aravindが設計し直したのは、医療ではなく会計です。 診察も手術も同じ。市場価格で払う患者と、無償や大幅な低価格の患者が、同じ病院で同じ治療を受けます。 どちらの会計で受けるかは、患者が自分で選びます。 払える人の支払いが、払えない人の手術を支える。 これを成り立たせるために診療の工程を徹底して標準化し、医師が手術に集中できる段取りを組み上げました。 1992年には眼内レンズの自社工場Aurolabを設け、最も高価だった部材を自前にしています。

結果

患者のおよそ半分が無償か大幅な低価格で治療を受けながら、組織としては財務的に自立しています。 手術と処置は年間およそ72万件。創設からの累計は1,080万件を超えました。 Aurolabのレンズは160カ国に輸出され、世界シェアの9%を占めています。

リサーチの視点

善意を原資にすると、医療は寄付が尽きた日に止まります。 Aravindは治療の中身ではなく「誰からいくら受け取るか」を設計し直し、施しを続けられる事業に変えました。 払い方の設計だけで無償を回し続ける、交差補助の最も鮮やかな実例として収録しました。

MODEL
払い方を変える
THEME
ソーシャルグッド / インクルーシブ
SOURCE
aravind.org ↗
最終確認
2026.08.05

一覧へ戻る